林真理子
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金銭的な余裕は自分が世の中に認められていく度合いに比例して大きくなっていくものだということは、私自身が経験してきたことでもあります。野心を持つこと、お金を欲しがることは、けっして薄汚いことではありません。
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美しい和の食器は、きちんとしたひとり暮らしをしている女の、心の証のようなものだ。
そもそも、世の中に「結婚に向いていない」という女など存在するはずがない。
お金があることで、たとえばある日思い立ってヨーロッパまでオペラの公演を見にいくことができる。そういう時間をつくることができることにも、お金が関わっていますよね。知的な好奇心を満足させるために必要なお金を求めること、そのお金を得られるレベルの人になりたという野心を持つことが、どうしてマイナスのイメージで捉えられるのでしょう。野心は悪者と、なぜ思うのか。私はむしろ、野心を持って自分を引き上げていこうという姿勢を、いまの日本人はもう一度取り戻すべきではないかと思い。
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一流ブランドの男と結婚したかったら、まず自分が一流ブランドの女になれ。
口紅をつけなくても、たっぷりおいしいものやお酒を入れた後の唇は、ばら色に光って濡れている。ああいうのって、すごくセクシーだと思う。
私自身、ずいぶんとお金を使ってきました。おいしい食事、着物、洋服先やバッグなどのブランド品、家具などなど……。あのレストランで食事をしてみたい、あのブランドのコートを着てみたい、最高級の生地で和服をつくりたい。そういった、いろいろな欲望を満たすために使うお金は、有意義なお金だと思っています。本当においしいお寿司もフレンチも、食べてみなければおいしさを知る由もない。歌舞伎だって、劇場で観て初めて、いかにすばらしいかがわかる。
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まあ、パーティなんていうのも一時のものである。素敵なドレスを着たとしても、シャンパンも明日になれば消え去るものである。が、この儚さは、とても甘美で楽しいものだ。女が美しくなるために欠かせない多くの要素を含んでいる。
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失恋して傷ついたら、その失敗を結婚で活かせばいいんです。
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私には15歳になる娘がいますが、歌舞伎やミュージカルなどにどんどん連れていっています。でも、娘がそれをすぐにおもしろいと思うわけではないんですね。「レ・ミゼラブル」を観た後で、彼女はこう言いました。「なに、この、綺麗事!」それでいいんです。まだ、わからなくてもいい。けれど、本物を観せてあげれば、それは必ず残る。そんなふうに思ってきれいにお金を使うことについては、他人様にとやかく言われたくない。むしろ、いまの大人たちは、子供や若い人たちに本物を教えるためにお金を使うということをしなさすぎるとも思います。
不倫の相手に対して、自分が「最後の女」になることを望むというのは、なんと矛盾したことだろう。
無駄遣いを推奨するわけではありません。でも、お金のかかるもののほうがやはり上等であり、その先の愉しみを提供してくれる、ということを、知らないままでいるよりは知ったほうがいいと思うのです。
美しい女は、料理をしている最中も美しい。
自分で稼いで、一本のワインを気がねなく買うことが出来る。そして気に入った仕事と気に入った女友だちを何人か持っていれば、年をとっていくことも捨てたもんではない。我ながら意外なほど、充実した日が待っている。
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全く男っ気がない女に恋のチャンスは訪れない、などということは誰でも知っている真実。
海外へ旅をするとします。そのとき、一生涯エコノミークラスでいいやと思うより、ファーストクラスに憧れながらビジネスクラスに乗っていくくらいの感覚のほうが楽しいでしょう。極端な言い方ですが、エコノミーしか知らない人とビジネスに乗りながら次はファーストクラスだなと考えている人では、やはりその先の人生がだいぶ違うのではないでしょうか。もちろん、ファーストクラスは贅沢なわけですから、どうしたって自腹を切らなくてはいけない。ここも大事なんです。
国内外の舞台や演奏会などを観るために使ったチケット代や、一流シェフや職人が腕を振るう店での会食にかかるお金も含めて、すべてがいまの仕事に役立っている。知的な好奇心を満たすために使ったお金は、絶対に無駄ではないのです。
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あんまり若くない女って、どうしてこう運命っていう言葉に弱いのかしら。
やはり美しさを自覚し、女らしさは何たるものか追求している人たちに混じり、切磋琢磨していくことが、その後の幸福を左右していくのではないだろうか。
仕事に恵まれているだけでお金が稼げるわけでもありません。何が必要かといったら、言うまでもないですが、とことん働くことです。
林真理子のすべての名言