湯船のお湯をかき寄せれば、自分のほうに引き寄せられるが、その後にお湯は向こうに流れていってしまう。反対にお湯を押し出せば、自分の前から流れて行くが、少し後にはお湯が自分の方に戻ってくる。少し押せば少し返り、大きく押せば大きく返る。奪うに益はなく、譲に益がある。
二宮尊徳
二宮尊徳のその他の名言
-
貧となり富となるのは偶然ではない。富もよってきたる原因があり、貧もそうである。人はみな、財貸は富者のところに集まると思っているが、そうではない。節倹なところと、勉励するところに集まるのだ。
-
すでに熟したものを差し置いて、まだ熟しないものを心配している。これは人情の常である。しかし、まだ熟しないものを心配するより、すでに熟したものを取り入れる方が、どれほど良いかわからぬ。
-
すべての商売は、売りて喜び、買いて喜ぶようにすべし。売りて喜び買いて喜ばざるは道にあらず。貸借の道も、また貸して喜び、借りて喜ばざるは道にあらず。
-
商売をするときは、金を儲けようなどと考えずに、ひたすら商道の本意を勤めなさい。よく商人の本意を守って努力すれば財は求めなくても集まり、豊かになることは計り知れない。
-
私の本願は、人々の心の田の荒廃を開拓していくことである。天から授けられた善の種である仁義礼智を栽培し、善の種を収穫して、各地に蒔き返して、日本全体にその善の種を蒔き広めることである。
-
恩には報いていかなければならないという道理をわきまえることができれば、この世の中のこと全てについては、何の迷いも無く進められる。
-
わざわいは過去の因縁によって来る場合もある。名僧が強盗にあったときの歌に「前の世の借りを返すか、いま貸すか、いずれ報いはありとしぞ知れ」と詠んだとおりだろう。決して迷ってはならない。
-
世の人が、生きているときは人で、死んでから仏となるというのは間違っている。生きている時から仏であるから死んで仏になるのである。