白石康次郎
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夢を見るのに理屈はいらない。
人生においてね、使っていいものって三つしかない。「愛と夢と忍耐」。
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何より大事なのは平常心。体のちょっとした傷口から雑菌が入り込むように、心もほころびがあると、そこから不安や油断が広がって、正しい判断ができなくなります。だから、激しい嵐の中でも、まったく風が吹かない凪のときも、普段どおりやるべきことをやる。そうして1マイル1マイル積み重ねた先に、ゴールがあるんです。
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死ぬまで試練のない人生なんてどこにもない。
風だけの力で地球を体感したかった。
自分自身の体で動かない限り、何事も身につかない。
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学んだことの中にはいいことばかりじゃないですよ。
何カ月にも及ぶレース中も、ヨットの上で毎日ヒゲを剃ります。なぜなら僕にとっては、それもやるべきことだから。心身の準備を整えることが目的ですが、実際問題、船底などで何かトラブルが発生すれば、水中メガネを着けて自分で修理に行かなければなりません。そのときヒゲが伸びていると、そこから水が入ってきて困るという理由もあるんです。
幸せな人間でないと幸せを教えられません。
結局「壁」を作り出しているのは人間の心。行く手を阻む風の大波を困難だと感じたり、恐れたりするのは人間です。波は波でしかない。大自然を前にすると、ジタバタしても始まらない。淡々と冷静に最善をつくすだけ。
自分の未来に枠をつくるなんて、寂しいよね。
どんな茨の道だろうが、どんな不可能と言われようが、とにかく自分の心の向いた方に行く。
失敗も成功も覚悟の上です。死ぬことだってあるんだから。
僕は自分のやってきたことを偉業だなんて思っていません。ヨットでの世界一周も、5オーシャンズで表彰台に上がったことも、それをやりたいと思う自分の心に素直に従っただけです。
「人生って楽しいよ」「好きなことをしなさい」という人は、きっと幸せそうな顔をしている。
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俺ってね船酔いが激しいんですよ。
僕がまだ高校生のとき、「一人乗りのヨットで世界一周」という目標を立てたものの、実現させる術は、まったく見当がつきませんでした。でも、悩んでいたって埒があきません。とりあえず先駆者たちがどうしたのかを勉強しようと思い、ジョン万次郎から植村直己さんまで、ヨットや冒険に関する本を手当たり次第に読んでいきました。そのとき出会ったのが、のちの僕の師匠・多田雄幸さんの本でした。そこには、まさに当時の僕の欲しかった情報がすべて網羅されていたのです。
「死んだらどうする」ではなく「死んでも悔いはない」と思ってスタートしないと、ヨットでの世界一周なんてできない。
実際に行動を起こすことが重要です。高校生のとき、多田雄幸さんの本に感銘を受けた僕は、東京駅まで行って、電話帳で多田さんの電話番号を調べて会いに行きました。いま考えればずいぶん無鉄砲なやり方ですが、でも、あそこで思い切って第一歩を踏み出さなければ、その後の世界最年少世界一周も、「5オーシャンズ」2位も、僕の人生にはありませんでした。
とにかく好きなことをしようよ。
白石康次郎のすべての名言