矢野博丈
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以前は、POSで、お客さんはベーシックなものを選んで早く買い物を済ませたいという傾向が強くなってきた。そういう状況では、売れないアイテムを並べておく意味はないので、POSを使って何が売れていて、何が売れていないのかを把握できるようにしました。
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性格を磨くには、ひとことで言うのは難しいが、「嫌なものは嫌」「自分さえよければそれでいい」という考え方に支配されないように、普段から心がけるしかないと思う。自分のためじゃなく、周りのために何ができるかを考えていれば、気が付いたときには周りから認められる人になっている。性格を磨くというのは、きっとそういうもんじゃないだろうか。
怒れる人間が何人いるかが強い企業と弱い企業の差だと思います。
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アイテム数を「絞る」のではなくて、売れているものを「抽出する」ことができるのがPOSのいい点ですね。最初からアイテムを絞るのは、売る側の独善的な決めつけにすぎません。しかしPOSなら、店頭に並べた商品の中から実際にお客さんが高く評価しているものが実績としてわかります。じつは私もそこを混同していて、「要は売れそうなアイテムに絞るんだろ」と言ったら、「社長、絞るんじゃなくて抽出するんです」と社員に怒られましたね。
いくらお金を持っていたり、地位があったりする人でも、性格が悪ければ人は離れていく。人間関係は人の心が絡むことだから、こうすればこうなる、という単純な方法はないけれど、必要なことをあえて言うなら「性格を磨く」ことが大事だろう。
何かの結果というものは、それまでの過程があって生まれてくるもの。だから過程を大事にすることが、いい結果を生み出すただひとつの道なんだ。それをしっかりと心において、ひとつひとつ積み上げていくことが必要だと思う。
環境が変われば最適な方法が変わる。これはもう仕方がない。けれども、環境が変わっても変わらずに役立つものがある。それが努力だと私は思っている。自分の役に立つかどうかわからん他人のノウハウを吸収するより、自分で努力する力を磨いた方がよほどいい。
本に書いてある考えやノウハウが現場で通用しないのは、決して間違っているからではない。会社の規模が違えば適した方法は異なるし、時代背景や景気の状況によってもやり方は変わってくる。そこを考慮せずに表面的なノウハウだけを取り入れようとするから失敗することになる。
最近の若い人は、すぐに結果を求めたがる。努力した成果というものは、3年先、5年先に出てくるものだ。それまでは我慢して努力を重ねていくしかないのに、いますぐ結果が欲しいから、この方法がダメなら次、それもダメなら次というように、右往左往している。これじゃ何ひとつモノにならないよ。
もちろんPOSだって万能ではありません。小売店は店の方からも「これを売りたい!お客さんに使ってほしい!」と仕掛けることも大事です。お客さんの反応がよかったものを売るだけでは、後手に回ってしまいますから。
20世紀の企業経営は、成長を前提としていました。しかし、21世紀は明らかにそうではありません。21世紀の人間は、たくましくなければいけません。成長しなくてもいいけれど、日々の営みを積み重ね、執念深く自分の弱みを知り、備える必要があります。
一人で始めた移動販売が社員3人規模まで大きくなったとき、「よし、ワシも経営の勉強をせにゃいかん」と思って、本を3冊買ってきたことがある。3冊とも松下幸之助さんの本だった。読んでみると、私が考えたこともないようなことがいろいろ書いてある。さすが経営の神様だと思った。その中のひとつに、「経営者には権限移譲する力、部下に仕事を任せる力が必要だ」と書いてあった。だからそれに倣って、それまで平社員だった社員3人をそれぞれ専務、部長、課長にしていろいろ任せることにした。ところがこれは上手くいかなかった。大きな会社で、ふさわしい年月と経験を重ねてきた社員に権限を委譲するのは、効果的なのかもしれない。だけど、当時のうちの社員は年月も経験も浅い。苦労もしないまま役職が与えられると何か勘違いしてしまって、権限移譲の悪い面ばかりが出てしまった。このとき私は、本に書いてあることをそのまま鵜呑みにしたらいけないと思った。
商品を販売するうえで、誰しも「こういう商品を売りたい」とか「ビジネスはこうあるべき」という理念やこだわりを持っているでしょう。ただ、それは哲学であって結論ではありません。哲学は自分で決めるものですが、結論はお客さんが決めます。この違いが判らず、自分の哲学こそ結論だと勘違いしてしまうと、お客さんから見放されてしまいます。
いま思えば、商品を100円均一で売ったのは、安くしすぎでした。安さは、企業が生き残る条件ではないのです。物には価値に合った適正な価格があります。100円均一は、そんな当たり前のことをわからなくしてしまいました。いまは100円だけではなく、200円とか、2000円といった価格の商品も販売しています。
人間、誰だって悩みを抱えている。でも悩んでいるからといって、暗い顔をしていたら悩みはますます大きくなるだけ。つらいときほど笑い飛ばして、元気を出したほうがいい。
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あるとき、私の尊敬する経営者の一人ユニーの家田美智雄元会長が、「私はYTB運動をしているんだよ」とおっしゃった。何かと聞いてみたら、「上も下もなく、寄ってをする。これが楽しいんだ」と教えてくださった。家田元会長は、経営が傾いていたユニーを短期間で立て直した中興の祖です。自分でいろいろと苦労して結果を出してきた方なので、私も素直に真似しています。
会社を大きくしたいとか、店をたくさん出したい、事業を大きくしたいと思ったことはありません。
商人に恰好をつける余裕はない。お客様に満足してもらうために社員を鍛えないといけないし、そのためにはひたむきに怒り続けないといけない。それが商人に求められる謙虚さだ。
経営では、お客さんの変化を感じ取れる力を磨かなければ、自分が気付かないうちに会社が危なくなります。自分の哲学を押し付けたり、お客さんのある時点での結論が絶対だと勘違いした時点で、会社は弱っていきます。
以前当社は店頭上場しようと準備をしていました。でも、私の判断で上場予定日の二か月前にキャンセルしたんです。いまでも、いつでも上場できる状態にあります。しかし、上場すると投資家からの目を意識して短期のことばかり考えるようになります。結果として、この土壇場の上場中止があったからこそ、いまの大創産業があります。
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