1つの活動は必ず次につながっていくんですね。去年、熊本地震の後、被災地でテント村を開設したのもそうです。一昨年のネパール大地震のとき、僕はエベレストのベースキャンプに向かう標高4500メートルの斜面で被災しました。すぐに支援プロジェクトを立ち上げ、日本とヒマラヤを行き来して、心身ともに疲れ果てて帰国していたとき、熊本で地震が起きたんです。正直、ヒマラヤと同時に熊本を支援するのはムリだと思いました。だけど、自分が動かなくていいのかという葛藤もありました。そこにヒマラヤで一緒に活動してきたシェルパから電話があったんです。「ほんの少ししかお金を送れないけど、日本の皆さんに恩返しがしたい」と。「やるか、やらないか」で悩み、やらないとしても「自分が納得する理由」を探していた自分の背中がドンと押されました。
野口健
野口健のその他の名言
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失敗とか弱さをさらけ出すと、助けてくれる人が現れる。大人になって学んだ「人の巻き込み方」のコツです。多くの人を巻き込むと、自分一人頑張るだけではとうてい実現できない大きなことも形に出来るんです。
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立場によって意見が変わる。極端な例で言うと富士山に不法投棄する人にだって理由がある。それを考えないと落としどころは見つからない。
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自分が正しいと思ったことでも、現場で「これは違う」と思ったら軌道修正。軽いといえば軽いですけどね。この感覚はすごく大事だと思います。
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エベレストに登りたい若者は大勢いたと思うんですよ。ただ、「やりたい」と口で言うことはできても、「実践する」のは違う。そこまで実際に自分でやるってことなんですよね。
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成功したければ、努力をコツコツ積み重ねるしかない。皆さんがテレビで見る「登頂に成功して旗を広げている映像」は、山頂に滞在できるたった15分間だけの姿。それまでに長い準備、数年間の努力があるわけです。