僕は昔から植村直己冒険賞に憧れていたんだけど、ずっと受賞できなかった。ところが2007年にエベレストに登ったら受賞の話が突然きたんです。確かにエベレストはハードな山だけど、僕の登頂は世界初でも記録的でもない。受賞の理由を山岳会所属の選考委員に聞くと、エベレストの清掃登山があったと。2000年に僕が清掃登山を始めた頃は、山岳会には清掃登山に対して批判的な人も多かった。売名行為だとかね。でもそこであきらめずに続けて、ネパール政府も動かした。そういう活動を山岳会もそろそろ認めざるを得ないと、その選考委員に言われたんです。その時に、人は変わるんだと思った。
野口健
野口健のその他の名言
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最初は信用してくれなくても、細々とでも続けていれば、こいつインチキじゃないって思ってくれる人が出てくる。人が変わっていくのが肌で感じられるんですよ。
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成功したければ、努力をコツコツ積み重ねるしかない。皆さんがテレビで見る「登頂に成功して旗を広げている映像」は、山頂に滞在できるたった15分間だけの姿。それまでに長い準備、数年間の努力があるわけです。
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メディア露出が多い分、登山専門家からの風当たりはキツかった。ムカついたけど、いま考えるとありがたい指摘も多かったですね。
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講演会に呼ばれると、大抵グリーン車。それに慣れるのは怖いこと。だからよく八ヶ岳に行って、登山家としての原点を思い出します。
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エベレストに登りたい若者は大勢いたと思うんですよ。ただ、「やりたい」と口で言うことはできても、「実践する」のは違う。そこまで実際に自分でやるってことなんですよね。
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いまでも孤独だなあと感じる夜はあります。でもベッドの中で孤独な自分と向き合う時間は大切。その葛藤を経て自分が決めるからこそ自由を得られる。
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自分で自分を追い詰め過ぎてはダメ。苦しいときは、「人生は51%成功すればいいんだ」と、自分の中のチャンネルをちょっと変えること。
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大自然を相手にしたら「必ずできる」はありえない。山も人間の身体も自然のものである以上、登れる時は登れるし、無理な場合は無理。それで良い。