堺屋太一
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過去の大事業も、それが成し遂げられる前は「ばかばかしい、不可能だ」と思われていたようなこと。ばかばかしさを楽しむことを忘れなければ、社会も人も変わっていく。
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幸せというのは環境と希望の一致です。
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新規事業を興して成功した者は称賛され、後々まで名が残るが、害を除き、事を省いた者の功績が語り継がれることは珍しい。蒙古帝国の功臣耶律楚材の言葉にあります。「一利を興すは一害を除くにしかず、一事を生むは一事を省くにしかず」一つの利益を新しく起こしても、ひとつの損害を取り除くことには及ばない。一つの新しい事業を始めても、一つの余計な仕事をやめるほどの効果はないという意味です。
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知価ブランドの商品値段は高額です。「そんなものにお金は出せない」という人も出てくるでしょう。その一方で、知価ブランドが提供するイメージに共鳴した人は、高い意思決定コストを乗り越えるだけの強い思い入れがあるぶんだけ、そのブランドを手にすることで「他の人とは違う」「いつもとは違う」という、非日常的な経験を味わえるのです。
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組織は個人よりも変わり難いものだ。
やっぱり人間は好きなことをすべきなんです。
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雛形を学ぶと模倣になり、独創性が排除される。定型になってきて、その定型を遂行する組織が無責任な下請け回しを行う。
「やる気のある者が報われる」のは、経済に必要な仕組み。
戦後の日本には、武人の文化がなくなってしまった。そのため、決断、勇気、大胆、覚悟といった武人的美徳まで消えてしまった。
就職における最も危険な間違いは、好きかどうかでなく、有利かどうかで選んでしまうことです。
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戦後の日本ほど経営者が重んじられた国は、人類の歴史上でも珍しいだろう。国家の要職、重要審議会の座長や大型財団の会長、国民的な行催事や大規模国民運動の代表などには、多くの財界人、つまり経営者の大物もしくはその卒業生が就いた。経営者は世間で尊敬される立場だったのである。
「人を呼ぶ」には、まず志を立てないといけない。誰が何の目的で何をするか、志を明確にする。その次にコンセプト、何が中核か。どういう仕掛けで動かすか。優秀なブレーンが正確なコンセプトを作って、それに従って基本計画を立てる。
職業は「有利」よりも「好き」で選ぶべきだ。
が決める。だから、観客を集められる者、つまり自由市場において売れる者こそが勝者である。
いまや日本は人を呼ぶ事業ができない。モノづくりには熱心だが、そのモノづくりが韓国や中国に追いつかれたから、いまや日本は危機的な状態にある。規格大量生産で集中して作ってたくさん売ったらいいという時代には、日本の集団主義でよかった。しかし、独創的な技術で多様な製品を作る時代になると、どんどん世界から立ち遅れることになってしまった。再び日本も人を呼べる国になることを真剣に考えないといけない。
最初の仕事で「通商白書」の作成にかかわり、私はこのとき初めて自分が文章を書くのが好きだとわかりました。それで熱心にやりだして生まれたのが「水平分業論」でした。
歴史で有名な所に人は来る。その次はフィクション。物語や歌に人は引き付けられる。それからリズム&テイスト。音楽に特徴があり飯がうまい所。四つ目はガール&ギャンブル。おねえさんがきれいでスリルのある所。五つ目にはサイトシーン。景色がよくて気候がいい。そして六つ目にショッピング。品ぞろえがよくて値段の安い所だ。フォーバスは、この六つのアトラクティブズのうち三つを創れという。六つすべてを集めたら失敗する。個性がなくなるからだ。
私の生涯は、好きなことに彩られました。文章を書くことと、博覧会のプロデユースです。この二つは、やってもやっても疲れなかった。今は年を取りましたが、30代では丸二日徹夜しても平気でした。だから若い人に言いたいんです。30代で丸二日寝なくても平気、そんなふうに時間を忘れられる仕事を探しなさい。
日本式経営を支えたのは三本の柱である。第一の柱は「閉鎖的雇用関係」、年功序列、終身雇用、企業内組合である。第二の柱は「先行投資型財務体制」である。企業は配当や賃金を低めに抑え、内部留保を厚くして先行投資を行った。第三の柱は「集団的意思決定方式」だ。意思決定に時間はかかるが不満はない。社長が決断を下すころには、全社員が内容を知っている。だから「決定は遅いが、実行は速い」という日本的特徴が生まれた。
油断!
堺屋太一のすべての名言