夏目漱石
5
私はこの自己本位という言葉を自分の手に握ってから大変強くなりました。彼等何者ぞやと気概が出ました。
2
古い道徳を破壊することは、新しい道徳を建立する時にだけ、許されるのです。
悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているのですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にある筈がありませんよ。
1
坊っちゃん。
0
わざわざ人の嫌がるようなことを云ったり、したりするんです。そうでもしなければ僕の存在を人に認めさせる事が出来ないんです。僕は無能です。仕方がないからせめて人に嫌われてでもみようと思うのです。
4
考えてみると世間の大部分の人は悪くなることを奨励しているように思う。悪くならなければ社会に成功はしないものと信じているらしい。たまに正直な純粋な人を見ると、坊ちゃんだの小僧だのと難癖をつけて軽蔑する。
自己を捨てて神に走るものは神の奴隷である。
あなたが今、撒く種はやがて、あなたの未来となって現れる。
人間は好き嫌いで働くものだ。論法で働くものじゃない。
3
虞美人草。
人間の目的は生まれた本人が、本人自身のためにつくったものでなければならない。
自分の好きなものは必ずえらい人物になって、きらいなひとはきっと落ちぶれるものと信じている。
真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ。
前後を切断せよ、満身の力をこめて現在に働け。
文鳥。
君、弱い事を言ってはいけない。僕も弱い男だが、弱いなりに死ぬまでやるのである。
道徳に加勢する者は一時の勝利者には違いないが、永久の敗北者だ。自然に従う者は一時の敗北者だが、永久の勝利者だ。
焦ってはいけません。
自らを尊しと思わぬものは奴隷なり。
夢十夜。
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