夏目漱石
3
草枕。
0
牛になる事がどうしても必要です。
2
鏡は自惚れの醸造器である如く、同時に自慢の消毒器である。
職業というものは要するに、人のためにするものだということに、どうしても根本義を置かなければなりません。人のためにする結果が己のためになるのだから、元はどうしても他人本位である。すでに他人本位であるからには種類の選択分量の多少すべて、他を目安にして働かなければならない。
6
凡ての創口を癒合するものは時日である。
他人より自分を非難すべきである。
1
真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ。
死ぬまで進歩するつもりでやればいいではないか。作に対したら一生懸命に自分のあらんかぎりの力をつくしてやればいいではないか。後悔は結構だが、これは自己の芸術的良心に対しての話で、世間の批評家やなにかに対して後悔する必要はあるまい。
たいていの男は意気地なしね、いざとなると。
運命は神の考えることだ。人間は人間らしく働けばそれで結構である。
5
倫敦つて居る。
成功は才に比例するものにあらず。
人間は自分の力も自分で試してみないうちは分かりません。握力などは一分でためすことができるが、自分の忍耐力や文学上の力や強情の度合などは、やれるだけやってみないと、自分で自分に見当のつかないものなのです。
四角の世界から常識と名のつく一角を摩滅して、三角のうちに住むのを芸術家と呼んでも良かろう。
わざわざ人の嫌がるようなことを云ったり、したりするんです。そうでもしなければ僕の存在を人に認めさせる事が出来ないんです。僕は無能です。仕方がないからせめて人に嫌われてでもみようと思うのです。
4
愛嬌というのはね、自分より強いものを倒す柔らかい武器だよ。
坊っちゃん。
悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているのですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にある筈がありませんよ。
古い道徳を破壊することは、新しい道徳を建立する時にだけ、許されるのです。
女には大きな人道の立場から来る愛情よりも、多少義理をはずれても自分だけに集注される親切を嬉しがる性質が、男よりも強いように思われます。
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