丹羽宇一郎
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誰がやっても傷だらけになるなら、俺がやればいい。
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私は、自分の実力を最大限に発揮したければ平常心を失わないことが何より重要じゃないかと考えています。
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逆境に強い人がいるわけではなくて、逆境が人を強くするんです。
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「お前は、何様だ」と、自分に言い聞かせなければ、従業員のことを見失いかねない。
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人間の性というか、自己申告だと損をできるだけ少なく報告するのが常。
経営でも、相手と5分くらい話していて「この人は相当出世する」とピンとくることがあります。そうした直感は、若くて経験が足りないときはよくわからなかった。人生経験だったり、自分の専門分野の経験を相当積み重ねて、ようやくひらめきが働くのでしょう。
子会社の整理の過程で退職してもらった人たちも多く出たが、伊藤忠は危機を乗り越えられた。隠し事はせずに公明正大に訴えたことで、社員のバックアップを得られたのだと思う。社員なくして今の私はない。
入社して30代前半までの最初の10年間は、アリのようになって働くことが重要です。若い時期に人生を切り開くために必要な、仕事の基本を体に覚えさせるのです。力を出し切るまで働くという意味を込めて、私は「泥のように働け」と言っています。
30代前半から40代前半までの10年間は、自分が関わっている仕事について日本一、いや、世界一になるつもりで勉強することが重要です。学者と議論しても負けないほど勉強を重ねる。自動車業界に身を置いていれば、「自動車」と名のつく本はすべて買うぐらいの覚悟が必要です。並大抵の努力ではできません。
商社で学んだことは、現場の一次情報から判断すること。
「信なくして国立たず」という言葉がありますが、社長をどれだけ信頼できるか、社長は社員をどれだけ信頼しているか、そうしたことが第一にあるはず。
自分に負けないよう、欲望に負けないよう、心の鍛錬をすることが重要。
ある有名大学経済学者の研究で、35年間200人を調査したそうです。その結果、子供の頃から優秀な人でも大人になったら普通だったり、逆に子供のころは目立たなかったのに大人になったら立派な経営者になったりする人もいる。でも、経営者になるような人は共通して、忍耐力、諦めない心があったといいます。知識も大事ですが、それ以上に、物事に取り組む姿勢が大切だということだと思います。
読書で何を読むかは人それぞれで、「これを読みたい」と思う本を読むのが一番です。一冊の本を読んで、心に刻む言葉がひとつふたつあれば十分です。それが頭と心に栄養を与えます。そして、同じ本に接しても自立と成長を志向する意識がない限り、情報は流れていくだけです。
若い頃は、背伸びをして堅い雑誌を読んだ時期もありました。でも、時間がたつと忘れています。背伸びをしているだけで、本来、関心がまだなかったんでしょう。そういう読書は身につかない。だから、人にどんな本を読めばいいのかと相談されると「その時その時で違うんだよ」と答えます。時代によって感動、感激は違いますから、その時に読みたい本を読むのが一番の正解です。
正解は1つではない。ベストはなく、これがベターだと考えられる選択をしていくしかない。そのベターも、会社によって違う。
企業にしろ、政治にしろ、例外はあるだろうが、一般的に言えば、長期化すれば権力そのものはみな腐っていくのが常。
一見、「これをやるな」というネガティブリストは発想を制限しそうに思えますが、それは逆です。イノベーションは意外なところから生まれます。これがポジティブリストだと「これをやれ」の中に「医療分野の研究」が入っていないので、やってはいけないということになる。ネガティブリストだと、「やってはいけない」こと以外は何をやってもよい。だからイノベーションが生まれやすい。
虚栄心というものが、時に人を努力させ、時には人を誤った方向へ誘惑する。
企業不祥事を起こさないようにするためには、コーポレートガバナンス・コードを策定したり、社外取締役を増やせばいいというものではない。人として当たり前の「嘘はつくな」、「クリーン、オネスト、ビューティフル」、「清く、正しく、美しく」という子供でも分かるようなことを徹底するべきである。
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