成毛眞
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結局、親が子供に就職活動について教えることができるのは、産業の状況と、それをもとに自分を売り込む戦略の立て方だと思います。人材採用の裏側には、大学の就職指導やハウツー本には出てこない、しかし社会人なら知っている現実があります。それを子供に教えてやるのが親にできる就活支援なのです。
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ビジネスの概要を簡単に説明した本を読んでも、わかったような気になるだけで、知識として身につくことはありません。こういった本を読んでわかった気になった人は、使われる立場から抜け出すことができません。なぜなら、概念は知っているけれども深くは理解していない人は、使う側にとっては好都合だからです。
伝達という点において最も後れを取っているのが、いまだにやたらと電話をかけてくる人たちである。ふいにかかってきた電話を取ると、それまで進めていた自分の仕事を中断しなくてはならず、当然のことながら生産性がダウンしてしまう。だから、伝達手段を電話に頼っている人は、相手の都合を考えない、仕事のデキナイ人といえる。それゆえ、私は絶対に電話に出ないし、いまではオフィスの電話もほとんど鳴らなくなった。
どうせ目標を設定するなら、とにかくスケールの大きなゴールがいいですね。たとえば、「この会社の社長になって、なおかつ業界初の経団連会長になる」とか、面白いじゃないですか。前人未到の目標なら、あらゆる選択肢が視野に入りますから。
私の考えでは若者の使命は新たなことに挑戦していくことである。そのためには将来を楽観的に信じなければならないし過去の独善的な考えに支配されてはいけない。こうした意味で若者にはおじさんの言うことは9割が間違いだと考えてほしい。
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気をつけて欲しいことは、論理的であることだけがビジネスの成功の法則ではないということです。たとえば、新商品開発や新規事業戦略の立案など、クリエイティブな仕事をしている人にとっては、論理思考はかえって足かせになるでしょう。新しいものを生み出すには、論理的に考えるよりも、いかに発想を飛躍させられるかが勝負だからです。
大切なのは、将来の目標に縛られるような、小さな生き方をしないことです。仕事でも人生でも、いまを精一杯生きてください。
フェイスブックに関していうと、友達の数が多ければ多いほどいいと考え、なかには5000人を超える人と友達になっていることを自慢げに話す人もいる。しかし、データが重くなるだけで、メリットよりもデメリットのほうが大きくなるだけではないか。最も大切なのは、どれだけ価値ある情報のやり取りができる友達がいるかである。
現代では「空気」を読むことが集団の中で生活するのにことさら重要だとされている。こうした風潮は企業や学校などの多くの組織に蔓延しているようだ。しかし私にとって空気を読んでばかりいる人はいてもいなくても大差のない存在感のない人である。他人の顔色ばかり窺う。納得もせずその場の流れに任せて自らの考えを曲げる。そのような人からは新たな気づきも得られることはなく建設的な講義も期待できない。自分を肯定してくれる存在は心地よいかもしれないが長い目で見れば付き合うことに価値があるとは思われないのである。
娘が大学に進学したとき、私は体育会系の部に入ることを勧めました。訳知りの企業なら、体育会系の人材を最優先に採用します。なぜなら、体育会系の人材は挑戦することに慣れているし、体験から学ぶ訓練ができているからです。そして多くの仕事は、論理的に教わろうとすると習得するのに時間がかかります。とにかく無茶苦茶に向かっていけば早く覚えられます。頑張りさえすれば勝てるとは限らない実社会において、負け方を知っていることも強みでしょう。
読書に目的を持つな。
会社は受験のように能力が一定以上ならどこでも受かるというものではありません。たった一社でも自分と相性の良い会社が見つかり、そこに入ることができれば成功なのです。そして、希望した会社に入れば、学歴コンプレックスなど吹き飛んでしまうものです。
飛躍的で斬新なアイデアも、論理的に説明することができなければ、上司をはじめ、社内の人たちを説得できません。非論理的なことを実現するには、社内外での賛同を得るために、それを論理的に説明できる能力も必要です。論理的に話す力は、英米系企業で成功したい人には、とくに不可欠な能力だといえます。
難しい言葉を使って形式的に話すことで自分を賢いように見せるのは誰にでも出来る。この簡単なテクニックを使う人はビジネスの世界に驚くほど多いしかし、それでは人を説得することはできないしましてや人を惹きつけるようなことは決してない。これができるのは子供のように簡単な言葉を使って自分の考えと感情をストレートに表現できる大人げない人だけである。
本の同時並行読みは、脳の異なる部分を同時に刺激するので脳の活性化にもいい。発想がとても豊かになるんです。予定調和をぶち壊すためにも、同時並行読みはお勧めです。
若い世代が周囲にいない人が、デジタルネイティブのような感性を活かしたいのなら、やはりSNS上の画像情報で「いいね!」のスタンプが数多く押されたものをチェックしていくことで、彼らの感性に少しずつ近づいていったらどうだろう。そして人の評価など気にせず、まず素直に自分が好きなことをやってみるとよいだろう。
本を読むのであれば、あらゆるジャンルの本をバランスよく大量に読むべきだ。私の自宅にある本の数は「何冊」という単位では数えられない。トン単位である。家の地下にずらりと本棚が並んでいるが、すでにそこもいっぱいで、本棚の前には入りきらない本が積んである。本がある程度たまったら、4トントラックに積んで別荘に送っている。だから家も別荘も本だらけだ。そのくらい極端に本を読んでこそ、極端な生き方━━「その他大勢」から抜け出す生き方ができるのである。
企業が人材を採用する視点はふたつあります。「仲間」として採用するか、「労働力」として採用するかです。面接官を笑わせられる人材ならば、仲間として迎えられる確率が高くなります。知的産業や日本的な風土の企業では仲間意識を大切にするから、点を稼ぐことができるはずです。
本はミーハーな読み方をした方がいいというのが僕の持論です。ビジネスチャンスになる旬な情報を捕まえるのは、常にミーハー精神ですから。
英米系企業であればともかく、日本企業で過度に論理的な能力を発揮すると、逆に煙たがられる場合もあり得ます。論理的ではないタイプの上司に対して論理的に理路整然と話す部下は、「生意気な奴だ!」と反感を買ってしまう可能性があるわけです。日本企業で出世したいだけなら、論理力を磨くよりも、日本式のビジネス処世術を学んだ方が有利かもしれません。論理力とは、相手や場面に応じて使い方を変えるべきものです。
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