僕は、昔から「世間で陽の当たらないもの」に肩入れするようなところがありましてね。たとえば、演歌がもう過去のものだとされている時代に、あえて演歌をテーマにした作品をいくつも書いた。デビュー作の「さらばモスクワ愚連隊」ではデキシーランドジャズのことを書いていますけど、当時ジャズといえばモダンジャズが全盛で、原型であるデキシーランドジャズなんてファンの間では古臭いとされていたんですが、あえて、そっちに肩入れして書いたんです。
五木寛之
五木寛之のその他の名言
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私自身は、さんざん苦労していろんな目に遭って生きてきたのだから、「疲れたけれど、これで休めるか」というようなホッとする気持ちで死に臨めればいいな、と考えています。
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風が吹かないとヨットが進まないように、人間も「やろう」としたことのすべてを自分の力でやっているわけじゃなくてね。目には見えない大きな力で動かされている。
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大事なことは何か。なにごとによらず、一つずつの行為を十分にあじわいながら、その一瞬を大切に過ごすこと。それがいま、特に大切に思われてならないことなのです。
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国が国民のためにあるなんて、夢を見てはいけない。国家は国民のためにあるんじゃなくて、国家そのもののためにあるんですから。
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私たちは、まず、自己を肯定するところから出発したほうがいいようです。自己を肯定し、自己を認めてやり、自己をはげまし、よろこばせること。それが必要ではないか。
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どれほど努力しても失敗ばかりする時期もある。そういうときは、「うーん、どうも他力の風が吹いてないようだね」と自分を責めたりせずに首をすくめていればよい。
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混迷の時代には「そうだ、もともと人生なんて思うようにいかないもんなんだから」と絶望のどん底まで降りていって、そこから跳び上がればいい。
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仏教には「中道」という考え方があります。これは相対立する二つのどちらか一方だけに偏らない、しかしいつも真ん中にいればいいというわけではない。両方を大事にせよということです。