先日、考古学の研究のために明日香に行く機会がありましたが、大勢の観光客で賑わっていました。周りを見回しても大したものはないのに、なぜ多くの人が集まるかというと、ここから万葉集が生まれ、古事記が生まれと物語があるからです。一木一草にまで伝説が染み付いているのです。古のある日、石川女郎の墓があるなどと思いながら見ると有り難みが出てくるものです。そういう物語があるから人はそこに行くのです。
五木寛之
五木寛之のその他の名言
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混迷の時代には「そうだ、もともと人生なんて思うようにいかないもんなんだから」と絶望のどん底まで降りていって、そこから跳び上がればいい。
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「人間には無限の可能性がある」というような言いかたには、どこか嘘があると思う。人間にはできることと、そして、できないことがある。
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こ人生は思うにまかせねものである。好きであっても素質がない場合もあり、素質はあっても環境や運に恵まれず、好きではない世界で一生をおくらなければならないこともある。
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楽しいことは長続きする。好きなことは長続きする。気持ちのいいことは長続きする。そうでないことは、どんなに強制されても結局は続かない。
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人生に目的はあるのか。私は、ないと思う。あらかじめ決められる法律のような人生の目的というものを、私は想像することができない。
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人間は誰でも自分がいちばん大切なのです。そして、そのことをほんとうに自覚した人間だけが、自然なかたちで他人を大切に思うことができる。
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私自身は、さんざん苦労していろんな目に遭って生きてきたのだから、「疲れたけれど、これで休めるか」というようなホッとする気持ちで死に臨めればいいな、と考えています。
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大事なことは何か。なにごとによらず、一つずつの行為を十分にあじわいながら、その一瞬を大切に過ごすこと。それがいま、特に大切に思われてならないことなのです。