仏教で「慈悲」といいますが、「慈」とはプラス思考の励ましの言葉です。戦後の日本では「頑張れ」という励ましの言葉ばかりが持てはやされ、「悲」というものが捨て置かれてきました。悲しんだり、嘆いたり、泣いたりするのは全部マイナス思考であって、ネガティブなマイナス思考は免疫力を下げ、自然治癒力も落ちるような言い方をされてきました。私はそんなものは迷信だと思います。テレビの瞬間芸を見て鼻先でフフッと笑ったぐらいでは治癒効果などありません。滂沱と涙を流して泣いたことのある人だけが腹の底から笑うことができる。ひとは「慈」と「悲」を両方持って走らなければいけない。
五木寛之
五木寛之のその他の名言
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人生の目的は、「自分の人生の目的」をさがすことである。自分ひとりの目的、世界中の誰ともちがう自分だけの「生きる意味」を見出すことである。
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思想、アイデア、学問、文化。これからの日本はそうしたもので世界をリードしていけばいい。人口は少なくてもいい。経済大国になる必要もないと私は思っています。
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いつまでも若い気になって、世界に覇を唱える必要はない。これからの日本は少子化と豊かな精神の大国への道を歩いていけばいい。
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「明日はわからない」ということをわかっているだけでも違う。震災だろうと、経済的危機だろうと、何も考えていない人よりも50%は有利というか、より的確な判断ができるようになるでしょう。
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出世のための人脈じゃなく、自衛のための人脈をつくっていくんだ。そう覚悟するだけで、先行きの見えない世の中にも、ちっちゃな灯りがともるんじゃないでしょうか。