五木寛之
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登山というのは、登るだけではない。無事に下山するまでが登山なのです。
日本には世界に誇るべき思想がふたつあります。ひとつは、神仏混淆という考え方です。仏壇と神棚が同居していても争いにならない。一神教同士の原理主義的な宗教対立が先鋭化して世界の発展を阻害している時代だからこそ、共存思想が輝きを放つのです。もうひとつが、Animism、山にも川にも、一木一草にも精霊や神が宿るという考え方です。今日の環境問題の根底には西欧的な人間中心主義があります。人間も地球の一員という発想は、アニミズムの根からしか生まれてきません。
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ここにある絵のなかでどれを盗むかということを本気で考えながら絵を見ると、とっても真剣になれる。
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人生において、三分の一を占める眠る時間を尊敬しなくちゃいけない。
憂えるのは大事なことで、心の中に何とも言えない憂いが湧きあがる。これがなければ社会は進みません。いまの若い人たちは自分探しなどと言っていますが、他に向けて憂えたり、自分について憂える熱い気持ちが欠けていると思います。
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自分を愛せる人間が他人をも愛せる。
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夢見ることは、人間にとって大事なことです。心にも大事だし、体にとっても大事なのではないでしょうか。
本居宣長は人は生きている限り悲しい目にあうと言っています。悲しいときにどうするか。悲しみから目をそらさずに悲しめと宣長は言います。悲しいと思え。そして悲しいと呟け。人にそれを語れ。歌にも歌え、と。そうすることによって自分の中の悲しみを引きはがして客体化することができるし、それを乗り越えられる。
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人生の目的の第一歩は、生きること、である。
私たちは、人間にとって自由になることとならないことがある、ということを受け入れなければなりません。
才の背後には魂が必要だ。
私たちは死ぬときは、ただひとりで逝く。恋人や、家族や、親友がいたとしても、一緒に死ぬわけではない。人は支えあって生きるものだが、最後は結局ひとりで死ぬのだ。
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自分だけの独自のスタイルを持つということは、どんな商売にせよ、大事なことさ。
世界に天然痘がなくなったということを世界保健機関は宣言したわけですが、本当になくなったかわりに新種の、われわれの目に見えないウイルスや、あるいはこれまでになかった病原体というものが出現したのではないでしょうか。
「憂」「愁」「悲」を大事にすることが鬱の時代の人間的な生き方だと思います。大変な勢いで成長して山を駆け上がっているときはそんなことを考える暇はない。これからはその時間があります。民族としての成熟とはそういうことであり、いま、我々は成熟するチャンスにさしかかっているのです。
流行歌は自らを慰める歌であると思う。
人生の目的は、「自分の人生の目的」をさがすことである。自分ひとりの目的、世界中の誰ともちがう自分だけの「生きる意味」を見出すことである。
このところ核利用施設の事故があいついで発生した。今後、いつか、どこかで、もっとひどい大災害がひきおこされるかもしれない。
人間は誰でも自分が一番大切なのです。
スターは存在感がすべてですね。
五木寛之のすべての名言