ニーチェ
1
過小評価するより過大評価する方が、判断力の欠如を完璧に暴露してしまう。
我々が不意に、ある事柄について問われた場合に思いつく最初の意見は、一般に我々の意見ではなく、我々の階級・地位・素性につきものの決まり文句にすぎない。
2
私は人間ではない。私はダイナマイトだ。…私は宗教的な人と接触したあとでは手を洗わずにはすませない。
3
恋愛感情の中には、いつも若干の狂気が潜んでいる。とは言っても、狂気の中にもまた、いつも若干の理性が潜んでいるものである。
もっと喜び楽しむことを学ぶこと、それこそ他人を苦しめたり、苦しめようと考えたりすることを忘れさせる最善の方法である。
0
自分の力以上のことをつくり出そうとしてそのためにたおれていく人を私は愛する。
学問によって確認されるのは真理なのだろうか。むしろ、自分で自分を確認しているだけなのではなかろうか。
苦しみをともにするのではなく、喜びをともにすることが友人をつくる。
事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。
9
総じて値段がつくものは、すべて価値のないものである。
人間は行動を約束することはできるが、感情は約束できない。なぜなら、感情は気まぐれだからである。
学者は本をあちこちひっくり返して調べるだけで、しまいには自分の頭で考える能力をすっかり失ってしまう。本をひっくり返さなければ、何も考えられないのだ。
われわれのうちで、最も勇気のある者でさえ、自分が本当に知っていることに対する勇気を持つのは稀なことにすぎない。
独創的–何か新しいものを初めて観察することではなく、古いもの、古くから知られていたもの、あるいは誰の目にもふれていたが見逃されていたものを、新しいもののように観察することが、真に独創的な頭脳の証拠である。
科学者が天才視されないのは、単なる理性の児戯にすぎない。
私はひとりでいることにすっかり慣れ親しんでいるので、決して自分を他人と比較するようなことはせず、静かな楽しい気分で自分との対話に打ち興じ、笑いさえ交えて孤独の生活を紡ぎ続ける。
常にいつも、汝自身であれ。汝自身の教師、彫刻家であれ。
4
脱皮できない蛇は滅びる。その意見を取り替えていくことを妨げられた精神たちも同様だ。それは精神ではなくなる。
5
キリスト教徒はただひとりしかいなかった。そして、その人は十字架の上で死んだ。
生きるとはなんのことか…生きるとは…死にかけているようものを、絶えず自分から突き放していくことである。
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