「養之如春」──何事であれ、もの事を為すには、春の陽光が植物を育てるように為すべきだという意味である。「これを養う」の「これ」には何を当てはめてもいい。子供を育てることも、愛情を育てることも、仕事を完成することも、病気を癒すことも、みな確かに、あせらず、時間をかけてゆっくりと、春の光が植物を育てる、その育て方に学ぶべきなのである。
井上靖
井上靖のその他の名言
-
地球上で二人が顔を合わせたら、そこには一つの約束がある。何だといったら相手の立場に立って物を考えよう。「仁」ですね。いわゆる思いやりです。
-
現在、君はもう、昨日までとは違った新しい現実の上に立っている。前穂の氷の壁よりも、もっと冷酷な地盤に立っている。よく覚悟しておくことだ。
-
人間のやることに結末などはつけられないのだ。いつだって、中途半端なのだ。しかし、それでいいではないか。そもそも結末をつけようというのが、おこがましい限りだ。
-
どうせおだましになるのなら、なぜもっとむごく、とことんまでおだましになりませんでしたの。女は男のうそによっても、けっこう神にまでなれるものでございますのに。
-
女というものは、夫が何をしていてもいいんです。ただ、それに協力して、いつでも夫と一緒にいたいんです。愛情というものはそういうものよ。
-
本当のことを言うことで、本当のことを言う相手を持つことで、お前はこの世に生きて来たことを肯定しようとしている。自分の人生に意義を見出そうとしている。
-
大体、人間というヤツは、年齢をとるとロマンティックになるよ。若い者はロマンティックだなんて笑うが、あれは本当は嘘だ。若い時は、驚くほど現実的だよ。
-
克己つことだ。非常に難しいが、人間が他の動物と違うところは、誘惑や欲望と闘って自分に打ち克つことができるという点だ。勉強するも克己、仕事をするのも克己、みな克己だ。