井上靖
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人生は所詮の一語に尽きる。
1
愛が信じられないなら、愛なしで生きてごらん。世の中が信じられないなら、世の中を信じないで生きてごらん。人間が信じられないなら、人間を信じないで生きてごらん。生きるということは恐らく、そうしたこととは別ですよ。
人間にできることは、ただ一つしかない。それは何かというと、出会いを大切にすることです。運命は人間の力でどうすることもできないが、その運命の出会いを大切にすることはできる。
日本が国際化するために小説家として自分ができる国際貢献は、日本の本を世界の人々に読んでもらい、日本を理解してもらうこと。
期待していただいたのに、力及ばず、申し訳ない。
すべての子供にとって父親というものは常に完全でなければならぬもので、ここに子供と父親の悲劇の根源はあるようである。
2
天はわれわれを助けてくれない。
上村君、柔道とはね、最後は練習量が決するよ。
父に世話になろうがなるまいが、たとえ小さい時棄てられたとしても、それでもなお、子供は父というものにかばわれているのである。
旅から苦難が消えてしまったといっしょに、旅情の宝石もまた消えてしまったのである。
人間というものは、自分が恩恵を受けたたくさんのことを、それを思い出そうとしないと思い出せないものである。
私が一貫して描いてきたのは「仕事に没頭する人間の孤独」ですよ。
聞き取れるか取れないかの声で、救けてくれ、と言った。
百万の富を抱いても、一生涯に少ししか費わなかったら、これは問題なく貧乏人です。
一生の仕事が無駄になった人が世の中にはたくさんいる。私たちの今日の文化は、そういう「尊い犠牲」の上に成り立っている。
夜毎、空には神秘な星の光が輝き、地上には正しく生きることを考え、悩みながら人間が生きている!
友情というものは、お互いに相手に対する尊敬と親愛の念の絶えざる持続がなければならぬものである。
努力する人は希望を語り、怠ける人は不満を語る。
本当のことを平気で言える相手もなかったとしたら、お前はこれまでの長い一生を、何のために生きて来たか判らないことになる。
結婚して何年かすると、みんな相手が古ぼけて見えて来るものだ。なぜ、自分はこんな相手と結婚したんだろう。
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