安田佳生
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やる気を失っている人というのは「この仕事は自分にとってどんな意味を持つのか」「自分にとって仕事とは何か」といった根本的な問いに答えを出さないまま、仕事に向かっているケースが多い気がします。自分の中に答えがないから、自分でも気づかないうちに迷いが生じて、仕事に対する情熱をしぼませてしまうのです。
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人生を楽しもうという気のない人に、仕事ができるはずがない。
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"できませんでした"そんなあなたに足りないのは、本当に「時間」なのですか?
過去の歴史の流れを知るうちに、「どんなに世の中が変化しても、正しい思想や価値観は変わらない」ということでした。いまは魅力あるビジョンや人望より、金儲けのスキルがある経営の方が業績を上げていたりします。しかし、私は、これから成功する経営者はもっと別の方向に向かうと信じています。
モチベーションを高く維持できるかできないかは、ひとつはその人の性格でしょう。たとえば、新入社員を20人採用して、1人だけみんなと違う仕事をやらせたとします。そのとき、「私は特別な仕事をもらえた。ラッキー!」と思って頑張れる人と、「なぜ私だけがこの仕事なのか」と不安に感じる人がいます。これはもう、本人の性格の差です。
私にとって会社を倒産させないということは、さほど問題ではありません。もちろん、つぶさないように努力していますが、存続云々よりも、この時代の中に存在する意味を持つ会社であればと考えています。いま、人々の価値観はお金から人間的豊かさに変化してきているはずです。そんな転換期に、安田佳生という人間が社長のワイキューブという会社があった、といわれるような存在にしたいのです。
指示されたことを完ぺきにこなす社員が何人いても、仕事を生み出す人間がいないと会社は成長できません。働きがいのある場を与えて、優秀な人材の力を見事に引き出す。これこそが人を集める決め手なのです。
結局、組織をどれだけ強いチームに出来るかは、できない人のレベルを上げることによって、平均値を上げるのではなく、成績トップのできる人に、どれだけ先を走らせるかで決まる。
やりたいことがあれば、まず周りに発表するようにしています。たとえば、「会社の給料を倍にする」という目標ができたら、まず社員にそれを約束してしまうのです。嫌いな人との約束はストレスになるかもしれませんが、好きな人との約束は、むしろ自分を動かすエネルギーになります。好きな人から期待されると、誰だって張り切るでしょう。仕事でもそれは同じです。
私はもともと、それほど本を読む方ではありません。それでも、会社を立ち上げた際、なかば仕方なく最先端のビジネス書を読み、世の中のトレンドをつかもうとしたのですが、難しくて頭に入りませんでした。そこで読み始めたのが歴史小説でした。歴史という流れの中に、時代を超えた、普遍の考え方を見出し、経営に役立てられればと考えたのです。
人生に成功している人は、「頭がいい人」ではなく、「やる気のある人」である場合の方が、はるかに多い。
これまで、コンサルティングの仕事で5000人を超える社長たちに会いました。彼らの経営目的を聞くと、会社の拡大。つまり、株式公開とか、売上を10倍にするとか、社員数を増やすといったことを挙げます。しかし、それは社長の野心であって大義とは違います。多くのトップのこんな考えは、優秀な人には簡単に見透かされてしまいます。
むかしは営業の仕事が苦手でした。アメリカの大学を卒業して帰国したあと、リクルートに入社して営業職を選んだのも、いずれ会社を経営したいという思いがあったからです。そうでなければ、きっと事務系の仕事を選んでいたでしょう。リクルート時代はもちろん会社を興してからも、営業に対する苦手意識はずっと持っていました。営業にストレスを感じなくなったのは30歳になってからでしょうか。いまでは、営業は最も自分に合った仕事だと感じています。
私は本を読むとき、注目した部分をノートに書き写します。1ページまるまる写したりもします。何のために注目したのか、要するにどういうことなのか、それも一緒に書きとめるのです。こうして新たな発想の種が生まれます。それは、アイデアをひねり出すためのキーワードです。アイデアを生むためには、考える時間を別に取らなければなりません。私の場合、メールマガジンを利用しています。書くという作業は、アイデアをまとめるのに非常に役に立ちます。メールマガジンの執筆という作業は、まとまった量を定期的に書くことになるため、思考を整理するのにうってつけです。
タイムカードで時間を切り売りせず、プロは成果で勝負する。
その仕事が本当に自分に合っている仕事かどうかは、実際に何年か経験してみないとわからないんじゃないでしょうか。2、3年で見切りをつけて転職してしまう人も多いようですが、最低でも5年間は必要です。じっくり経験を積んでから見極めても、遅くないと思います。
私がワイキューブを設立したときは、確固たる事業欲などを持っていたわけではありません。若くして起業した理由は、一旗揚げて、金と自由を手にしようと考えたからです。しかし、金儲けを最終目的にしても人は集まりません。やがて、経営者に必要なのは、みんなで一緒に追いかける夢。つまり大義を掲げられるかどうかではないかと気が付きました。
最近はハウツー本が人気ですが、それはなぜかといえば、答えが載っているからです。しかし、ビジネスの世界には答えはありません。状況は急速に変わり、消費者も多様化しています。同じ成功体験が繰り返されることはありません。だから私はハウツー本を読みません。それよりも、「何が重要か」「なぜ重要なのか」と考えるためのヒントを探っていくと、歴史や哲学などの教養本にいきつくことになります。
なまじ自信があると、人の意見やアドバイスを素直に聞かなくなります。そういう人は、どんなにやる気があっても伸びません。実際、私が営業の仕事に対する苦手意識を払拭できたのも、人の意見を素直に受け入れるようになってからです。
人間の行動の九割が「くせ」なら、「くせ」のレベルを上げればいい。
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