安田佳生
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挫折や失敗を経験せずに、成功する人などいないですよね。大事なことは過去が未来を決めるのではなく、未来が過去の評価を変えるということです。
決まっていた予定でも、より優先順位の高い重要な予定がそこに入ってきたら、前の予定を変更せざるを得ません。未確定の予定も記入するという人は、予定が変わることを前提にしているのです。一方、予定が確定するまで書かない人は、予定をいったん書きこんだら、それはもう変わらないものだと思っている。言い換えれば優先順位という発想ではなく、ただ決まった順、来た順に仕事をこなしているということでもあります。それでは自分からスケジュールをつくりだすことも、仕事のパフォーマンスで他人に差をつけることもできません。
実は売り上げが伸びている時には同じことを成功の要因として語っていたんです。「どんな経営をしているのですか?」と聞かれて、「ブランド力を高めるためにオフィスに投資しています」とか、「良い人材を集めるために社員の待遇を良くしています」とか。会社が急成長している時にはそれらが成功の要因としてとらえられ、会社が潰れると失敗の要因としてとらえられる。成功と失敗の要因は裏表一体で、明確に分けられるものではないと思います。
自分の幸せに関わっている部分では、努力をして階段を上がっていくことは大切だが、自分の幸せに関わっていない部分では、負けていもいいというのが私の持論だ。周りと比べて、すべてに勝つ必要はない。自分が幸せであるために、必要なところで勝てば、人は充分に幸せになれる。
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もし私の人生が今、この時点で終わったら、客観的に見て「成功だ」と言う人はいないと思います。でも自己診断で言えば、私は自分の人生を楽しんだので成功だったと思います。自分にとっての満足度こそが重要な尺度であり、それが高いことが成功ではないでしょうか。
私は子供のころ、学校の成績がいい方ではありませんでした。でも父親は、「おまえは将来、すごい人物になるぞ」といつも褒めてくれました。根拠なんてないんですよ。ただの酔っぱらいの戯言でしたから。でも、そう聞かされているうちに、不思議に自信がついてきました。私の場合はたまたま父親が褒めてくれましたが、周りにそういう人がいないことも多いでしょう。そのときは、自分で自分を褒めてあげるしかありません。まずは些細なことでいいから自分を褒めて、やる気を自家発電する習慣をつけることが大切です。
仕事時間を減らすことは決して不可能ではありません。方法がないのではなく、忙しすぎてそれを考える余裕がなくなっているだけなのです。残業をやめ、週休3日にすると、仕事時間は半分に減ります。時間が半分にまで減ると、どんなに頑張ったところで、これまでの仕事はこなせなくなります。頑張ってもどうにもならないとわかると、人はガムシャラに頑張るのをやめ、頭を使って別のやり方を考えるようになります。そのためには考える時間をどう確保するかがポイントとなります。
常識とは、大多数の意見であって、正解ではない。
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先に高い給料を払えば社員のモチベーションが上がり、仕事も頑張ってくれると思ったのですが、理由もなく高すぎる給料を最初に払うと、人間ってダメになるんだと実感しました。すぐに高給に慣れて当たり前になってしまう。
たとえば製造業で、人件費の安いアジア諸国で製品をつくれば、同じものが日本の半分以下のコストでできます。そうなるといくら頑張ったとしても、これまでの方法の延長線上では勝ち目がありません。つまりこれまでの仕事のやり方に縛られていてはダメなのです。
多くの人は仕事時間を減らす方法がないのではなく、目の前の仕事をこなすのに必死で、「別のやり方」を考える余裕がないだけだと思います。そういう意味では、「考える時間」をまず持つことが大切です。仕事の効率アップだけでなく、モチベーションアップにも大きく影響しますから。
勤勉の対極にあるのは、今は「怠惰」ではなく「不変」なのだ。変化し続けること、それが今の時代に求められている、「勤勉さ」である。
チャレンジして大いに恥をかきましょう。それはあなたがチャレンジした証です。
モチベーションを高く維持しながら、なおかつ成長を続けていくには、自分を上手に褒めながら、一方で自己否定することも大切です。そのバランスが難しいのですが、「8割褒めて、2割否定する」がベストではないでしょうか。
30代以上で仕事ができる人は頭が柔らかい人です。それまで自分が積み上げてきたものに固執しないという謙虚さなのかもしれません。
勤勉は美徳であると信じている日本人は、いまなおたくさんいます。そういう人は、何かにつけて「頑張ります」といいます。確かに年収500万円の人が頑張って2倍の時間働けば、年収1000万円を達成することはできるかもしれません。しかし、このやり方には限界があります。1500万円を得ようと、単純に労働時間を3倍にすることは、もはや物理的に不可能だからです。さらに重要なのは、単純に作業量が増えたとしても、それがそのまま売上や収入の増加には必ずしもつながらないということです。
人には集中できる時間帯があります。人生をよくするために必要なのは、とことん深く考えるこだわりの時間と、それ以外の深く考えないこだわらない時間とを、うまく同居させることです。
なまじ自信があると、人の意見やアドバイスを素直に聞かなくなります。そういう人は、どんなにやる気があっても伸びません。実際、私が営業の仕事に対する苦手意識を払拭できたのも、人の意見を素直に受け入れるようになってからです。
好きか嫌いかで選べば、人生も仕事もそれほどピント外れのものにはならないのである。
人間は執着するものが、少なければ少ないほど、楽に生きることができる。
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