「感じる」という言葉が多いな……。それに気づいたのは、釣り具メーカーとして世界トップシェアを持つ、ダイワ精工からブランディングの依頼を受け、半年経った頃でした。その間、数か月はずっとヒアリングをし続けていました。最初は気づかなかったんです。しかし社員の方々の声を何十、何百と並べることでそれが見えてきた。「手元の感覚が」「あの感触が」なんて、これまでおつき合いしてきたどのクライアントでも一度も聞かなかった言葉でした。会社の存在意義、いわば本質がそこにあると見極められた瞬間でした。
佐藤可士和
佐藤可士和