出光佐三
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とても引き取れない。
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いまの官庁などは人間が組織に使われているが、我々の方は人間が組織を使うのだから組織は小さくてもいい。では組織は無用かというと無用じゃない。最小限度に使う。法律でも規制でも人間がしっかりしておれば最小限度で済む。私の会社は小さい組織だ。
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人員整理が必要だ。
石油カルテルは悪いものかというと決して悪いものではない。これがあったから世界の石油資源が開発され市場も大きくなって今日の石油事業が存在するのである。メジャー・カンパニーがやっているカルテルは大功労者である。けれどもこちらが隙を与えると独占されて高く売りつけられる。こちらが実力を持って隙を与えないようにして向こうを利用していけば、向こうも喜んで日本のために尽くす。これがカルテルの本当の姿である。であるからこちらは実力をしっかり持っていなければならない。
試練、謙虚ということは、日本の国体を中心として出てきた人間中心の歩き方であり、これは金権を中心とした物質文明の行き詰まりを解決する道であるということを、入社式にさいして深く頭にきざみこまれて奮闘されんことを祈ります。
僕は景気のいい時に、景気の悪い時のことを考えて準備しておけと言っている。
私は今後は、何もいままでのことにとらわれないで、出光個人の感情ではなく、私たちの仕事は国家の仕事であるという見地から仕事を進めていきたいという気持ちを持っている。
マルクスと出光は、その出発点・目標は同じでありながら、マルクスは対立闘争の道を歩き、出光は和の道を歩いた、というような、極端な正反対の姿となった。
人間尊重50年。
いままでの世界カルテルというのは世界的には非常な貢献をしている。それがために今日の石油の繁栄がある。しかし、それにしても出光はカルテルに始めから終わりまでいじめつけられた。このことを根に持ったことは一時はあった。しかし、これは商売であるから、私はカルテルの過去の恩義を恩義として考えたい。日本のためにカルテルに尽くしてもらうようにすることが、私のこれからの仕事だと思っている。
まず営業の主義を社会の利益に立脚せんとしました。事業の生命は社会と共に永久であるからであります。
働く人の資本主義。
本を読まなかったので、自然自分で考えるようになった。本を読んでいたら仕事も人の後を追っかけているようなことが多い。考えて考えて考え抜くことが大事だ。
世の中に混乱がある。それもたったひとつで解決がつきゃしませんか。それは「お互い」ということですよ。我欲の人間が仲良く暮らすためには「互譲互助」の思想に徹する以外に道はありませんね。これは日本人の道徳の根幹です。
永遠の日本。
不言実行は事業家の最も尊重すべき要点であります。大言壮語は実業家の最も慎むべき事であります。実業界の唯一の頼みは実力であります。この実力を個人的錬磨とその団結力によって発揮しようというのが我々の主義方針であります。
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人間は自分のする仕事が直接目に見えないと、仕事をする気にはならないものだ。第一線の本当に働く人だけで仕事をやったらいいだろう。人間があまりに多いと、自分の仕事の持ち分がわからなくなる。そうしたときは働かなくなる。
門司に出て石油の店を始めた。それまでは小麦をやっていたのを、なぜ石油にしたかというと、潤滑油は毎月売れるからだ。衣食足りて礼節を知るというから、まず衣食の道だけは決めてかからねばならない。それには潤滑油みたいに毎月売れるものをというわけだ。
現在のように人心の退廃した時代の人を救うには、親切に徹底しなければならぬ。いい加減な親切はかえって逆効果をおこす。
君らは3年か5年大学に行ったために自惚れすぎている。そして、人間が完成したように思っているが、人間というものは実に何も力はないのだ。ここの会社に入ったならば、まず俺は大学を出た、卒業したという気持ちと卒業証書を捨てろと言う。人間社会の人情の複雑な中に飛び込んで、その中で鍛えて鍛えて鍛え上げていくところに人間の偉さが出てくる。苦労をすればするほど人間は完成に近づくのだ。
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