松本晃
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私は会長に就任した翌日、社長にすべての権限を委譲しました。同じように、社長は役員へ、役員は部課長へと、どんどん下に権限委譲をしています。すると、委譲された側には、やりがいと責任感が芽生えます。責任の所在を明確にし、その人に一任することが必要なのです。
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土曜日の予定はバラバラですが、日曜日は極力、定型にしようと意識しています。年齢も年齢ですから、動き続ければくたびれます。私にとって日曜日は体のリコンディショニングの日。可能な限り決まったスケジュールにして、体調を整えるのです。
トラブルが生じたならば、「よーし、俺の出番だ!」と前向きに考えるようにしている。トラブルは人を成長させる。
かつて生産者の力が強かった時代は、「コスト+利益=売値」だった。だが、今やそれは逆になった。消費者が値段を決める時代だ。だから「売値-利益=コスト」で考えなければいけない。
組織というものは、全部悪いということはないんです。カルビーもそう。いいところもたくさんあったけれど、弱点もあったと。
海外の食品メーカーは儲かっていますが、米国でスーパーを覗いても、商品の値段が高いわけではありません。むしろg当たりで比べてみると日本よりずっと安い。私の分析では、日本の食品企業は製造と流通段階で利益が6ポイントずつ削られている。だから日本メーカーは、海外勢の15%よりずっと低い平均3%とでしょう。例えば、世界中の企業を見ていると改めて思いますが、営業担当者全員にオフィスを用意しているのは日本ぐらいですよ。
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本社については人数を絶対に増やさず、「現場に対する公僕になれ」と言っています。本社の仕事は支援だけで十分です。
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人を動かすということは、「何のために」するのかという問いかけから始まります。「何を求めているか」をはっきり示さないと、社員は動きようがありません。
ダイバーシティの推進は下から始めても進展しにくい。トップダウンで始めることが重要。「女性の活躍なしに、カルビーの将来はない」という確固たる信念のもと、性別のみならず、国籍、年齢、障がいの有無などの垣根を越えた多様性のあるダイバーシティ企業を目指しています。
経営者にとっての最も重要な資質は逃げないことだ。嫌なことは誰でも好きではないのだが、人の上に立つ者が逃げてどうなるのだ!
買うか買わないかは、あくまでも顧客が決める。
海外企業との提携や交渉は片手で握手し、もう一方の手では殴り合う。そういうものでもあることを忘れてはいけない。
企業には多くのステークホルダーがいます。中でも最も重視すべきは顧客です。彼らへの責任の1番目は安心・安全を前提にした品質、次に価格、3番目が商品の供給、すなわちサプライチェーンです。カルビーは1番目と3番目は本当によくできていました。ただし、コスト意識が低かった。代表商品のポテトチップスなどは、競合商品よりも価格が10円以上高かったのです。
私がカルビーの会長に就任したとき最大の問題は利益責任が地域カンパニーと商品カンパニーの両方にあったことでした。そのため、利益が予定通り上がらなくても、誰も重く考えないし、責任も取らない。当然、いろんな課題があっても積極的に手を出そうとしませんでした。
企業経営者が求めることは非常に明瞭。それは成果。スポーツチームならその団体は勝つことが目的だし、企業ならその組織は成果を出すことが目的です。私も株主から結果を出すことを求められているし、私もそれを社員に要求しているわけです。
データとは過去のものなんです。過去のデータをもとに未来のことを占っても、当たらないのです。
削減したコスト分を利益として社内に取り込んでいたら、カルビーは失敗していたでしょう。その分はお客さんに価格を下げることで還元しましたから、シェアが上がってきました。シェアが上がると工場の稼働率も上がる。そうすれば、全国17工場の固定比率は下がります。これが利益面で以外に大きかった。
海外事業の基本は、原材料も機械も人も現地で調達し、現地で売ることです。基本的に商品のクオリティーは守っていくつもりですが、日本と同一のコストで品質を維持するのは容易ではないので、そこは現地事情に合わせてやっていくつもりです。
重要なのは目標に最短で届く方法を探し続け、実行することなのです。私はデータが不要だと言っているわけではありません。科学的な経営は当然、必要だと思っています。大事なのは数字も使い方次第ということ。データの収集や分析が業績向上という企業にとって最大の目標に近づく方法になっているかを常にチェックしないといけません。
問題がビジネスをつくる。
松本晃のすべての名言