松本晃
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経営者にとっての最も重要な資質は逃げないことだ。嫌なことは誰でも好きではないのだが、人の上に立つ者が逃げてどうなるのだ!
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買うか買わないかは、あくまでも顧客が決める。
海外企業との提携や交渉は片手で握手し、もう一方の手では殴り合う。そういうものでもあることを忘れてはいけない。
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企業には多くのステークホルダーがいます。中でも最も重視すべきは顧客です。彼らへの責任の1番目は安心・安全を前提にした品質、次に価格、3番目が商品の供給、すなわちサプライチェーンです。カルビーは1番目と3番目は本当によくできていました。ただし、コスト意識が低かった。代表商品のポテトチップスなどは、競合商品よりも価格が10円以上高かったのです。
人を動かすということは、「何のために」するのかという問いかけから始まります。「何を求めているか」をはっきり示さないと、社員は動きようがありません。
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ダイバーシティの推進は下から始めても進展しにくい。トップダウンで始めることが重要。「女性の活躍なしに、カルビーの将来はない」という確固たる信念のもと、性別のみならず、国籍、年齢、障がいの有無などの垣根を越えた多様性のあるダイバーシティ企業を目指しています。
私は組織を活性化させるために、より物理的な「組織」も破壊しました。当社は2010年に本社を移転しましたが、その際に部・課ごとに机を並べる一般的なオフィスをやめ、毎日、各社員の座る場所が変わるフリーアドレスのオフィスにしたのです。部や課が固まって存在すると、そこに人が安住します。すると、本来あるべき姿から離れてしまっていても疑問を抱かなくなってしまうのです。やはり組織は常に壊し続けなければなりません。
組織はつくった瞬間から硬直化が始まる。
海外事業の基本は、原材料も機械も人も現地で調達し、現地で売ることです。基本的に商品のクオリティーは守っていくつもりですが、日本と同一のコストで品質を維持するのは容易ではないので、そこは現地事情に合わせてやっていくつもりです。
人は権限が好きだから、通常、自らそれを捨てようとはしません。そして、やがて目の前の権限を維持・拡大しようとするようになるものなのです。この時も、全社的に見ればおかしいと気づいた社員もいたかもしれません。でも、弊害があることにはっきりと気づかなければ、そのままになってしまうものです。それは、どんな組織でも同じではないでしょうか。
問題がビジネスをつくる。
データとは過去のものなんです。過去のデータをもとに未来のことを占っても、当たらないのです。
削減したコスト分を利益として社内に取り込んでいたら、カルビーは失敗していたでしょう。その分はお客さんに価格を下げることで還元しましたから、シェアが上がってきました。シェアが上がると工場の稼働率も上がる。そうすれば、全国17工場の固定比率は下がります。これが利益面で以外に大きかった。
企業経営者が求めることは非常に明瞭。それは成果。スポーツチームならその団体は勝つことが目的だし、企業ならその組織は成果を出すことが目的です。私も株主から結果を出すことを求められているし、私もそれを社員に要求しているわけです。
日本でも「社訓」がある企業は少なくない。だが、実際の行動に結びついている事例は少ないように感じる。なぜそうなってしまうのか。おそらくそれは日本人が「音」や「韻」を重んじる民族だからである。内容のわかりやすさや実用性よりも、声に出して読み上げたときの美しさを大切にする。これでは口から耳に通り抜けてしまうだけだろう。一方、外国人がつくる「クレド」や「ビジョン」は、極めてプラクティカルにできている。このため判断に迷ったときやトラブルが発生したときの拠り所になる。
社員が求めていることを理解すことも大事。経営者の要望と社員の要望のマッチングがあって、初めて人は動く。これは部長や課長と部下との間でも、相手にする人数は違うけれども、原理原則は変わらない。
リーダーは人前でうまく話す必要がありますが、最初から上手な人は少ない。やはり場数を踏むのが一番。最初は及び腰だった人も、今では皆、堂々と上手に話せるようになりました。このように、社員に人前で話す訓練ができる場を与えることも、会社の重要な役目だと考えています。
私がカルビーの会長に就任したとき最大の問題は利益責任が地域カンパニーと商品カンパニーの両方にあったことでした。そのため、利益が予定通り上がらなくても、誰も重く考えないし、責任も取らない。当然、いろんな課題があっても積極的に手を出そうとしませんでした。
逃げずに問題にぶつかっていった結果、将来が開けた経験が何度もある。
経営って、簡単なんです。難しく考える必要はちっともありません。
松本晃のすべての名言