松本晃
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カルビーで私が取り組んだのは、ムダを徹底的に排除して効率を上げることです。その根本にある考え方は、「一利を興すは一害を除くに如かず」。害になることをひとつやめることは、利益になることをひとつ始めるよりよいという意味です。
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以前いた会社で営業担当者がお客さんと1日平均でどれくらい実際に会っているかを調べてみたことがあります。わずか15分間でした。こんなことを言うとみんなに嫌われますが、日本企業のホワイトカラーは効率が悪い仕事をしていると思いますよ。
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経営って2つしかないんですよ。「世のため人のためになること」と「儲けること」。それ以外のことを考えすぎると経営が複雑怪奇になってしまう。
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一所懸命に考え、頭を使って工夫を凝らす。ビジネスで何が楽しいかというと、まさにそこです。
大事なのは仕事の効率を上げて、会社を強くすること。時短は結果の一つにすぎない。
上司はトラブルの報告を受けたら、まず、褒める。叱ったら、その人は次から報告しなくなりますから。
企業には必要条件と十分条件があります。必要条件は、世のため、人のためになること。しかし、それだけならばNPOやNGOでやればいい。しかし、企業である以上、利益を生むことが十分条件。重要性の判断基準も、ここに置くべきです。
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「失敗はどんどんすべし」と伝えています。課長が失敗して潰れた会社なんてありませんよ。それよりも、彼らが失敗から学んで成長し、自分の頭で考えられるようになることが重要。
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お客様は複雑に考えてはいない。シンプルな感覚が、本質を見抜いているともいえます。
トラブルが隠されたり、放置されたりすれば、会社に危機が訪れます。そうなったら、食品会社はいとも簡単に潰れます。
成果を出すために自分の時間をどう使ったらいいかについて真剣に考えるといい。会社が求めているのが何時間働いたかではなく、成果だから。
世のため人のためになることは必要条件、儲けることは十分条件。
パートナー企業を選ぶのは、結婚相手を選ぶ時と同じです。相手は美人なのか、実家は金持ちなのか。そういうことより大切なのは、オネスティーでしょう。海外では相手を騙そうとするのはある程度常識です。騙された方が悪い。そんな中でも正直な経営者や企業を選ばないとうまくいきません。これから誰かと結婚するとして、相手の資産を調べ上げても仕方ない。見知らぬ海外でパートナーシップを組むとなれば、何より相手がオネストであること、そして経営者が優秀であることが大事です。
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米医療関連製品大手ジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長からカルビー会長兼CEOに転じた私が最初にカルビーを見た印象は、「いい会社なのに儲け方を知らない」というものでした。シェアトップなのに儲からないのはなぜか。私に言わせれば、売上高や利益という企業が本来目指すべき目標に、カルビーという会社が真っすぐ向かっていなかったからです。途中で余計な仕事をしていたり、業績を上げるための「手段」がいつの間にか「目的」になっていたり。あまりにも効率が悪すぎたのです。
部下が新しい事業を立ち上げたいと提案してきた時、松下幸之助さんは三つだけ質問したというんです。一番目、「それは世の中のためになりまっか?」二番目、「その仕事やって、あんたウキウキしまっか?」三番目、「その仕事、儲かりまっか?」この三つでおしまい。要するにビジネスでほんとうに重要なのは、この三つだけなんですよ。
結局、高い目標を達成するためには、計画の作り方と、その計画を実行するための土壌や仕組みから変えていかなければならないのです。
本質を見抜く感覚は、机上で養うのではなく、どんどん現場に出ることで磨かれる。
私はカルビーの会長になってすぐに、「仕事の棚卸し」という運動を始めました。これは社内の仕事を、はやめるというものです。
ガバナンスのあり方を考えるうえで参考にしたのは、前職のジョンソン・エンド・ジョンソンの「クレド」でした。最初に勤めていた伊藤忠商事から移る際にもこれが決め手でした。クレドでは、まず顧客と取引先、そして従業員、3つ目に広い意味でのコミュニティー、最後が株主というふうに経営における優先順位を考えます。こうした順位に従っているとうまくいくのです。
日本の会社は学歴で社員を見ることが多いのですが、仕事と学歴とは関連性が薄い。
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